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むかしむかし、あるところに、なかなか子どもが生まれない夫婦がいました。
でもようやく、可愛らしい男の子が生まれたのです。
お父さんとお母さんは、大喜びです。
「よし、この子には偉いお坊さんに頼んで、元気で長生き出来る、立派な名前を付けてもらおう」
お父さんはさっそくお寺に行くと、お坊さんに頼みました。
「うむ、引き受けよう。元気で長生き出来る、立派な名前か。そうじゃなあ・・・」
お坊さんは一生懸命考えて、ありがたい意味や長生きした人の名前をくっつけて、大変長い名前を男の子につけてくれました。
それは、こんな名前です。
『寿限無(じゅげむ)寿限無(じゅげむ)、五劫(ごこう)のすりきれ、海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ)、雲来末(うんらいまつ)、風来末(ふうらいまつ)、食(く)う寝(ね)るところに住(す)むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命(ちょうきゅうめい)の長助(ちょうすけ)』
さて、ある日の事です。
その長い名前の子どもが、川へ落ちたから大変です。
お母さんがあわてて、みんなを呼びに行きました。
「みんな助けておくれ!
『寿限無(じゅげむ)寿限無(じゅげむ)、五劫(ごこう)のすりきれ、海砂利水魚(かいじゃりすいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ)、雲来末(うんらいまつ)、風来末(ふうらいまつ)、食(く)う寝(ね)るところに住(す)むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命(ちょうきゅうめい)の長助(ちょうすけ)』
が、川へ落ちたんだよ!」
やっと名前を言い終わった時には子どもは川下の方へ流されてしまい、おぼれ死んでしまいました。
ところがある日、別の子どもが川へ落ちました。
この子どもは、『ちょい』というだけの、短い名前でした。
「みんな助けておくれ! ちょいが川へ落ちたんだよ!」
お母さんの叫び声を聞いて畑にいる人が川に飛び込んで、すぐに子どもを助けてくれました。
そんな事があってから、この地方ではどのお母さんも生まれた子どもには出来るだけ短い名前をつけるようになったという事です。